「失礼!わたくしこう言う者です」


そう言って女の人はサっとそつのない仕草で名刺をあたしに手渡してきた。


胡散臭そうな一団にあたしは疑い深く目を上げていたけれど、出された名刺は有名な女子高生向けの雑誌も出版している出版社だった。


「今月の『フレッシュガール』に掲載する予定の“街角女子高生をキャッチ☆”て言うコーナーにあなたの写真を載せたいのだけど、写真撮らせてもらっていいかな?」


いきなり馴れ馴れしく言われて、あまり良い印象は受けなかったけど


でも


フレッシュガール…通称『フレガ』はあたしも良く見るし、実際女子高生に大人気の雑誌だ。


あたしが!?フレガの読者モデル!!?


びっくりしすぎて思わず名刺と、その胡散臭い一団を目配せ。


「今日のコーデ、すっごいお洒落ね!どのお洋服か参考に教えてもらえる?」


女の人はあたしの答えを聞かずしてどんどん話を進めていく。


その勢いに流されて


「えっと…トップスは、ユニ○ロで…確か¥1,000ぐらいだったかな…スカートは良く覚えてません。


このシャツは借り物で」


思わず真面目に答えちまったぜ。


「いいわね~旬だけど、お決まりコーデじゃなくて、爽やかなのにどこか捻りがある!


こうゆうの求めてたのよ!


あなた、すっごい髪きれいね。美容院は?どこへ行ってるの?お化粧は??見たところしてないように見えるけど」


女の人の質問は『ちょっと』どころじゃなく、あたしの意見丸無視でどんどん暴走していく。