はぁ


机に顔を乗せたまま、二度目のため息を吐いていると


「青い春って感じね~若いっていいわね~」


ふぅ


どこからか、おネエ店長のため息が聞こえてきて俺はガバっと顔を上げた。


おネエ店長は俺の隣の椅子に腰掛け、感慨深げに頬杖をついてため息。


「なっ…!何でっっ!!」


てかいつから居たんだ!!


「お客さんがひと段落したから、あんたの様子を見に来たのよ。


そしたらあんたは私が想像するよりセンチになってるし。


こう見えてもねぇ、あんたのこと心配してるのよ?


あんたは良く働くし、手際も良いし、ちょっとばかり喧嘩早いけど、お客さんのウケもいいしね」


あそーですかぁ。


「ねぇ、あんたは夏休みの間の短期の契約だけど、このまま継続しない?


時給上げるわよ?」


そりゃありがたいが。


「まだ学生だし、テストとかあると…」


と俺は試験を言い訳に半分断るつもりでいた。



~♪


尻ポケットに入れたケータイが鳴るまでは。





メール受信:朔羅


となっていて「ん?」俺は首を捻った。


“さっきはごめん!店長に怒られるかと思ってサ。


お前顔が取り得なのに、ひどいことして悪かったな”


メール文を読んで俺の額に青筋が浮かびそうだった。


“顔だけが取り得”と言われてる気がしたからだ。


でも、ま。いいか。


謝ってきてるのにいつまでも怒ってるのも大人げない。


まだメール文は続いていて、その文面を見ながら俺は返事を頭の中で思い描いた。







“あのさ、さっきの話だけど。


や!さっきの話抜きでも、夏休みのどこかで




一泊旅行しない?




キョウスケとリコと四人でピクニック行く予定を旅行に変えるのもいいだろうし。(どーせあの二人はピクニックだろうと旅行だろうと来ないだろうから)”








「は!?」