思わず手近にあったボーダーカットソーを引っつかみ胸元を隠した。
バカなあたし。タクが(て言うか普通の人間は)返事を待たずしてズカズカ入ってくるわけねぇってのに。
“あの”戒や叔父貴でさえそこら辺の気は遣える。
それでもカットソーを胸の前でぎゅっと握りながら、ほとんど忘れていたタクとの昨夜の出来事を一瞬で思い出し、思わず逃げ腰。
「な、何……?」
探るように聞くと
「お嬢…昨日のことですが…」
またも部屋の外で遠慮がちな返事。
昨日のこと…て、いやぁ“あれ”だよな。てか“あれ”しか思い当たらん。
突然迫られたことを思い出し、あたしは益々一歩後退した。
大体タク!おめぇあたしを女扱いしてねぇくせに、急に一体何だって言うんだよ!
疑心と怒り、そしてほんの少しの不安が入り混じり
ど、どーしよ…今大声出したらきっと戒は…ダメだ、あいつはあたしより早くバイトに入ってるからもう家を出ていねぇし、じゃ、マサか。
とにかく駆けつけてくれるはず。とちょっと考えたり。
だけど
「お嬢…昨日は突然失礼しました」
タクはいつになく神妙な声音で丁寧な口調。



