その夜、イチが予言したと言う台風並みの嵐はとうとうやってこなかった。
空は雲ひとつなく、相変わらずのうだるような蒸し暑い夜だった。
そのままの夜をそのまま引きずってきました、と言うような朝。暑い天候で迎えた。
「やっぱ嘘じゃん…?キョウスケの気を引きたかっただけだって…」
仰向けになったまま思わず呟く。
結局、雪斗との夢の続きも見られなかったし…
な~んか逆に目覚めが悪いような。
そんな消化不良のぱっとしない気持ちを抱えながら
エアコンを付けたお部屋で、あたしはバイトに行く前の身支度。
ベッドの上に洋服を並べて唸っていた。
嵐が来ないとか、雪斗の夢がどうのこのうとか、今はあれこれ悩んでる時間はない。
ちょっと寝坊しちまったぜ。
「いつものあたしだったら“これ”を選ぶけどなー」
淡いレモンイエローのブラウスに清楚な白いふんわりスカートを眺めてあたしは首を捻る。
いや、待てよ?こっちのボーダーカットソーとジーンズって組み合わせも捨てがたいし。
こっち(ブラウス、スカートコーデ)はデートみたいになっちまうし、かと言ってこっち(ボーダー、ジーンズ)はカジュアル過ぎか?
いくら『いつも通り』を意識したからって、気ぃ抜き過ぎか…
いや、勉強するだけなのにお洒落してってどうする。
千里と図書館に行くだけなのに何を悩んでる、あたし。
腕を組んで「む゛~ん」と唸っていると
コンコン…
部屋をノックする音が聞こえた。
あたしはブラとパンツ姿で
「はい!」
何だよ、時間ねぇんだよ!今は!
怒り気味で返事をすると
「お嬢、俺です。タクですけど……」
部屋の外で控えめな返事が聞こえてきて
へ!!!
タク!!?



