「行け」
短く言って、雪斗が撥をあたしに握らせる。
「行けってどこへ……」
意味が分からず撥を握ると、
ビシぃ…!
特に強く握ったわけでもないのに撥の真ん中にヒビが入った。
「…へ?」
カラカラカラ……
撥は音を立てて割れて行き、それと同時に視界が暗くなる。
待って!雪斗っ!!
まだ聞きたいことたくさんあるのに!
はっ!となって目を開くと、雪斗の姿はなく
そこはいつもと同じ殺風景な戒のお部屋に違いなかった。
――――……夢。
あたしは寝転がったまま手のひらをじっと見つめた。
雪斗は―――
あたしを導いてくれてるの?
それとも黄泉の国に誘おうとしているの?
分からない。
けど
白へびのことは―――きっと正しかった。
それからどれぐらい夢の余韻に浸っていただろう。
雪斗が何を伝えたいのか分からず一人で考えて……
考えて…?
ダメだ!一人じゃ何にも思い浮かばん!!
結局あたしは諦めて宿題のレポート用紙を開いた。
どうせ考えるなら、とりあえず目先のことを考えよう。
我ながらナイスアイデア♪
……と、思うものの…それも数分で終わり。
だって分かんないんだもん。
それにやっぱり雪斗の言葉が気になり、あたしは何となく押入れを開けた。
「確かこの辺にしまった筈…」
三味線を仕舞いいれてある辺りを夢中になって探してると、
スっ
押入れの床に黒い影が落ちた。
音も無く。
ただ静かに―――……
戒?もう風呂終わったんか…
一瞬の間でそんなことも考えたが
違う。
戒じゃない!



