「まぁ今は色々響輔だって悩んで疲れてんやろ。
イチに会いに行ったんは、好きとかそうゆう理由やなく、
きっと気を許せる友達に会いに行く言う感じやろ。
イチの前ではあいつ、いっつも自然体やから」
気を許してる―――……?自然体??
う゛~ん……イチ…リコより一歩リードかぁ。
またまた親友の心配に戻り
リコ、うかうかしてっとマジでキョウスケをイチにとられちまうぞ!
と一人で焦ったり。
あたしが頷く前に、何か言う前に―――
戒は話題を変えるように
「響輔おらへんし、さき風呂入ってくるわ。
ほな、またな」
戒は何でもないように立ち上がって部屋を出る。
えっ!ちょっと待て!
あたしはここに置き去り!?
結局キスすらしないまま。戒は着替えを持って出ていっちまったし。
「一人でどーすりゃいいんだよ。あいつに宿題手伝ってもらおうと思ってたのに~」
一人で解けない難問に向かう気力もなく、あたしは両手を投げ出し
ゴロン
畳の上に寝転がった。
背中がひんやりと気持ちよかった。
い草の香りと、戒の柔軟剤と……ほんの少しミントの香り。
そして懐かしい――――母さんの香り。



