い……イチ!?
「な、何で!」
イチと……デート!?
じゃぁリコを振った理由はイチが本命ってことか!!?
今度はあたしの方が苛立って思わず戒をゆさゆさ。
「知らねぇよ。追跡装置の発信機も反応してないし、あいつが自分で切った可能性が高いだろうよ」
やや投げやりな感じで戒が両手両脚を投げ出し
「まぁ美人だしな。スタイルも抜群に良いし、見た目だけだったらあっちに転ぶのも分かる気が…
中身だったら川上支持派だけど」
戒がさらりと言って
ゴゴゴゴゴ!
あたしの心の中は噴火寸前。
「あ!いやっ!これは言葉のあやで!!」
慌てて言い訳するも、
「お前はどっちの味方なんだよ!」
思わず怒鳴ると、戒はまたもさっきのおふざけから一転。
「イチか川上どっちかって?
そんなん俺が決められねぇよ。
俺は響輔が幸せになる方とくっついてほしい、そう思ってる」
至極真剣な……いっそ冷ややかとも呼べる表情であたしを一瞥して、あたしは振り上げそうになった拳を空中で変な風に宙ぶらりんにした。
そう……だよね…
あたしってば、キョウスケの幸せも願えずただただリコの心配ばかりしてた。
親友には幸せになって欲しいけど、でも実の兄貴みたいなキョウスケにも
幸せになってもらいたい。
「でも……響輔の幸せを願ってたら、俺は身を引かなきゃならない。
言ってる意味、分かるだろ?」
ふいに冷ややかだった表情を和らげ戒があたしの頬をそっと手で包む。
分からない―――…
フリをするのは簡単だ。
気づいていないフリをすればとっても楽なのに…
でも
そうしたらみんなが傷つく気がした。



