どちらからともなく口を閉ざし、無言すら甘い雰囲気と思えるほど見つめ合って
顔を近づけたときだった。
「「………何か違う……」」
あたしたちはキスできそうな至近距離だってのに、二人して首をひねった。
二人の声が重なり、顔を合わせると
「いつもならここでキョウスケの邪魔が入るよな」
あたしの問いかけに
「ああ、だけどいつになくスムーズだ。……おかしい」
戒も首をひねっている。
べ、別に覗かれたいとか邪魔されたいとか思ってるわけじゃないケド。
あたしゃそんな趣味じゃないぞ!
いつもタイミングを見計らったかのように登場するやつが現れなくて、調子が狂うって言うのはある。
「今何時?」
あたしが戒に聞いて、戒はケータイを開いた。
「22時40分。門限の21時はとっくに過ぎてる。てかあいつ夕飯にも顔出さなかったよな」
戒がちょっと不審そうに目を細めケータイのキーに指を滑らせる。
プップップップ…
戒のケータイから呼び出し音が聞こえてきて
だけどそれはすぐに
『お客さまがお掛けになった電話番号は現在電波の繋がらない場所におられるか、電源を切って…』
虚しい機械音があたしにも聞こえて、戒は最後まで聞かずして
「またか!」
イライラしたように強引に通話を切った。
「ち、地下鉄かもよ!それか電池切れか」
何故だかキョウスケのフォローに回るあたし。
「充電切れってのはありえるかもしれねぇけど、イマドキの地下鉄はどこでも電波はあるぜ?」
ま、まぁそうだよなぁ。
「充電切れじゃなきゃ残る可能性は一つ。
イチと会ってるか、だ―――」
イチ………!?



