■ 宿題!? ■


――――


その日の夜9時。


あたしは戒のお部屋に来ていた。


目的はまったりイチャイチャラブラブ……じゃねぇぞ??


あたしの目的はもっと壮大で、かつ重要なもんだ。


何が重要かって??


そ・れ・は



夏休み後の実力考査のためだよ!!


また赤点取って留年させられそうになるわけにはいかないからな!


「……でさ~、今日の客にめっちゃむかついてんねん」


戒はペラペラペラペラ…相変わらず良く喋る。


一日の報告をあたしに聞かせてきて、


“日直日誌”にしたら、日誌の一ページで収まりきらない内容だな。


「ああ、そう。…うん」


あたしは適当に受け流し、宿題(数学)のプリント用紙とにらめっこ。


数学教師め!


あたしを陥れたいのか!


って疑いたくなるぐらい問題はちんぷんかんぷん。


戒は宿題見せてくれないし。くすん。


真剣そのもので宿題に向き合っていると、突然戒の話が途切れた。


訝しく思って顔を上げると、すぐ近く…本当に至近距離に戒の顔があってビビった。


戒の紅茶色の瞳があたしを映し出している。






キス



されそうな距離に一瞬ぎゅっと目を閉じると






「ここ




数式間違ってんで」






戒の淡々とした言葉を聞き、あたしは慌てて目を開いて宿題に向き直った。