玄蛇はあたしの髪の先にそっと触れるとその一房を手に取り、
「そんな顔をされると、いけない癖が出そうだ」
「いけない癖?」
目だけを上げて玄蛇を睨むと
「私が好きな人間は、私に媚びずに刃向かってくる人間。
自分が危険だと思っていてもギリギリのラインでつなぎ止める。
危ういかもしれないが、危険なものほど
燃え上がるものだよ。
恋愛だってそうだろう?
君は最高に―――
愛おしいよ。
食べちゃいたいぐらいにね」
玄蛇があたしの髪にチュっとキスを落とし、
「やめてよ!何の冗談よ!」
あたしは玄蛇の手から強引に髪を引き剥がした。
「今日の髪、君とオソロなんだ☆
ハチミツゴールド♪私は君の髪が好きでね」
玄蛇はどこか無邪気に自慢してきて
「ねぇあんた…って
あたしのこと
好きなの?」
そっけなく聞くと
玄蛇はうっすら笑った。
「大好きだよ」
玄蛇は愛おしそうにあたしの両頬を包み込み、そっと髪を撫でる。
ぞっとするような繊細な手つきに、ドキドキするよりも何だか怖かった。
玄蛇の手つきは愛おしいものを包む手つきじゃない。
大切な人形を壊さないように慎重に扱っているだけだ。
「君は私の人形だ」
そう言われてる気がした。
動いて呼吸をして、体温のある人形。
玄蛇にとってあたしはそうゆう存在なのだ。
「君の大胆な行動と勇気に免じて
一つだけ
杉並区の殺人事件の犯人について教えてあげよう。
ヤツが私にとってどうゆう存在なのかをね」



