ドキリ…!
心臓が嫌な音を立てて顔がこわばる。
響輔は玄蛇の姿に気づいた様子でもなく、あたしからそっと体を離すと
「ほんまになんか…ごめん」
ぎこちなく言って気まずそうに顔をそらす。
「…う…ううん…」
あたしは極力何でもない素振りで響輔に笑いかけた。
響輔はあたしの異変に気づかず、更に気まずそうに視線をそらして
「ほな、帰るわ」
「…うん」
ぎこちなく答えると玄蛇は響輔の背後でポケットから手を出す仕草。
サングラスを僅かにずらし、その向こう側で瞳が怪しく赤く光った。
ポケットに何が入っているのか…
想像しなくても分かる。
ドキン、ドキン!心臓がより一層大きな音を立てて
玄蛇がポケットから手を出し切る前に、あたしは
「は、早く帰ったら?」
極力冷たく見えるようにそっけなく響輔に言うと、響輔は急に態度を変えたあたしに不機嫌になる風でもなくちょっと不思議そうに目を細めて
「…どうしたん?急に不機嫌…」
早く
「早く帰って!」
言い訳もできずにただ怒鳴ると、響輔はお手上げと言った感じで軽く両手を挙げる。
噴水の前に立っていた玄蛇はとうとうポケットから手を取り出した。
けれどその手は何も握られてなくて
『BANg!』
人差し指を響輔に突き立てて拳銃を撃つジェスチャー。
あたしをからかうようにうっすら笑みを浮かべ、指先を響輔の背中に向けている。
ドキん、ドキン!
心臓が早鐘を打つ。



