あたし
響輔のその言葉を聞けたら、それだけで十分だよ。
思い残すことなんて何もない。
この瞬間命が途切れても―――
「あんたは受け止めてくれる言うた」
「…うん」
「でもあんたに受け止められるほど、俺は落ちぶれてへん」
何よ、弱ってるくせに憎まれ口叩いちゃって。
強がってるのは響輔の方でしょ。
そう思ったけれど口にはしなかった。
あたしの前では
あたしの前だけでは疲れたところ見せてよ。
誰も知ることのない響輔。
あんたのすべてを受け止めるから。
「でも
今日はほんまにおおきに」
うん
あたしもありがとう。
響輔の頭をぎゅっと引き寄せて、すぐ近くまで迫った涙を必死にこらえる。
泣くなんて、恥ずかしいことしたくない。
きっと響輔は困るから。
だけど次の瞬間、目頭まで迫っていた急速なスピードで涙が引っ込んだ。
響輔の背後―――十数メートル離れた場所でシルバーに近い金髪に黒いサングラス
黒いコートに手を突っ込んだ
玄蛇が
ロータリーの噴水前に突っ立っていたからだ。



