あたしは今まで通りじゃイヤなの。
響輔と今まで以上の関係になりたいの。
でも
果たしてそれは響輔と寝れば得られるものだろうか。
得る―――どころか、今まで築き上げてきたものでさえあっけなく崩れるに違いない。
この一線。
それは決して目に見えるものじゃないのに、あたしと響輔の仲には確実に壁がある。
超えては行けない壁。
越えたいと願っていても、その一方で越えてしまったらそれだけの関係になることを
どこかで恐れていたのか。
「随分魅力的な提案やけど、あんたに一つも得があらへん。
それどころか下手うったらあんたの命が危ないわ。
そんなことになったら…」
「目覚めが悪い?」
あたしは響輔の言葉にかぶせて響輔を見上げた。
響輔は一瞬だけ悲しそうに笑い
だけどすぐに表情を引き締めた。
「悲しい」
響輔―――



