人を―――傷つけた…
それが具体的にどうゆうものだったのかわからなかったけれど、
でもあたしは知ってる。
響輔が大事な人に拳を振るったり、怪我を負わせるような男じゃないってこと。
と言うことは、精神的な何か―――
怒り
裏切り?
色々考えたけれど、結局明確な答えなんてでるはずもなく。
だけど―――
響輔の辛いとき、悲しいときにあたしが傍に居る。
「…あ、あたしが居るよ。響輔が辛いときあたしが傍に居る」
ぎゅっと響輔を抱き寄せると
「…頼もしいなぁ」
響輔はぎこちなく笑ってされるがまま大人しくしていた。
あたしは響輔の首の後ろに手を回し、力をいれると
「ギブアンドテイクでもいい。
あんたが欲しがってる情報、あたしが聞き出してあげる。
だから今夜あたしの部屋にきて。
何もしなくてもいい。ただずっと隣で―――
だから一人で悩まないで……」
あたしに響輔をつなぎ止めることはできない。
朔羅のように純粋に誰かを想うことなんてできない。
響輔は朔羅の汚れないまっすぐなその部分を好きになったってわかってる。
だけど―――
あたしはあたしのやり方で
響輔の内側に入り込んでみせる。
「枕営業だと思えば気が楽じゃない?実際“する”わけじゃないけど。
もちろんしたくなったらあたしはいいけど。
あんたが損することは何もないわ」
あたしが響輔の首の後ろに回した手に力をいれると響輔はあたしの腕の中ぎこちなく顔を上げた。
「二回も女に恥をかかせないで」
悪い女になりきったつもりで…いいえ、あたしは悪い女だ。
こんな弱っている響輔に付け入ってあわよくば、彼の恋人とと言うポジションを狙っている。
こんなこと言うなんて、今までとそれほど変わらない。
でも
欲しいものを手に入れる。
これはそれの手段の一つだよ。



