それから会話は途切れ、あたしは残ったコーヒーを無理やり飲み切った。
響輔も顔をしかめながら何とか飲みきり、間が持たないと思ったのかジーンズのポケットからごそごそとタバコを取り出している。
タバコは嫌いだし、吸う男も嫌いだけど
でも響輔のは全然イヤじゃない。
変なの。
「ねぇあんたの話ってのは何?聞きたいこと、あったんでしょ?」
いつまでも本題を出さずにあたしの愚痴に付き合ってくれた響輔。
こんなところまで連れてきてくれたし。
ギブアンドテイクじゃないけど、あたしたちが同等でいられるのは
この不思議な関係があるからじゃないかな。
「あー…まぁ、ねぇ…」
響輔は珍しく言葉を濁してミルクティーの缶の端を手で掴むとタバコを吹かせながらゆっくりと傾けた。
「なによ今更。聞き辛いって?」
「いや、この話の流れ的にどうなんかな…とか思うて」
「はぁ?あんたが話の流れを気にするタチ?今更なんとも思わないわよ」
ふん、と鼻息を吐くと
「…そうやな」
とまた歯切れの悪い返事。
何だろう、すごく嫌な予感がする。
前はこんなこと一々気にするような男じゃなかったのに。
いつでもマイペース過ぎて、そのペースについていけず一人イライラさせられてたってのに。
響輔が―――変わった。
ほんの少しだけど。
だけど響輔の口から出た言葉は意外なものだった。
「杉並区の殺人事件知っとる?
身元不明の焼死体で発見されてん。
警察はヤク絡みでヤクザに殺された思うてるらしいけどな。
あんた何か知らへん?」
やっぱりあたしの気のせいか。
いつも通り。



