。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。




「……」

「……」



沈黙が波とともに夕暮れの海に押し寄せ



「何か言うてや。あんたの言う甘い言葉やろ?」


響輔が真顔で目を細める。


「…ちょっと違うし。てかガラじゃないでしょ」


「……」


響輔は握り締めた拳を振り上げ、海の方へと振りかぶった。


「わ!ちょっと待って!!嘘よ、嘘!」


あたしは慌てて響輔の手を引き戻し、手の中から強引にストーンを奪ってやった。


「何なんあんた」


響輔はつまらなさそうに唇を尖らせ、大人しく隣に腰を下ろす。


響輔は―――


あたしを光だと言ってくれた。


「響輔



ありがとね」



どんな慰めよりも、どんなに気遣いの言葉よりも響輔のたった一言で


どんな嫌なことも吹き飛ぶ。



「あんたもあの場所に居たら分かるでしょう?あたしはあの回で降板。


あのアイドルが我が儘言って、あたしは下ろされたの。みっともないとこ見られちゃったな」


笑い話で流すように無理やり笑顔を浮かべると



「別に?みっともなくあらへんよ?



むしろ嫌な顔一つせぇへんで笑顔で最後までおったあんたはえらい思うけどな」




響輔は―――






残酷だ。





その無表情の顔の中に優しさをいっぱい詰まらせている。



でも





嘘はついたことない。



その優しさでいつもあたしを包み込んでくれる。



いつもあたしは






救われる。





それがたとえ男女の中に流れる愛情とは種類が違うものだと気づいても



それでもその優しさに溺れてしまう。






ねぇ


あたしは少しでもあんたの内側に





入れてる?





あたしは歪にゆがんだハートを手で払い、改めて砂浜にハートを書き直した。



今度こそハートはきれいに描けた。