。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。







「あの人は…『交換して』言わへんよ」




響輔はコーヒーの缶に口を付けながら遠くの方…海の水平線のもっとずっと遠くを見つめながらぽつりと言った。


「き、聞き分けのいい子って言いたいの?それとも優しいって??」


またも可愛くないあたしは、どんどん嫌な女へとなっていく。


これじゃさっきのどブスアイドルと代わらない。





「…いや。あの人は何も言わず…


強引に奪っていく」




至極真面目に言われて、あたしは目をぱちぱち。


「『あたしのものはあたしのもの。キョウスケのものもあたしのもの』みたいな。


我が儘お嬢様って言うより、ジャイアンやな。


俺はシズカちゃんみたいなのが好みやったのに」


ぷっ


あたしは思わず吹き出して


「何それ。何でそんなジャイアンを好きなのよ」


と笑った。


「おもろいやろ?周りにはおらへんタイプやったから」




「あんたもあたしの周りにはいないタイプだわ。



あたしを―――欲しがらない男なんてはじめて。


体や気持ちを求めてこないのに、ただ近くにいてくれる。




そんなのはじめて」





ミルクティーの缶を手で包んで俯いていると、響輔の手が伸びてきてあたしのミルクティーを奪っていった。


代わりに


「ん」


短く言ってあたしに缶コーヒーを押し付けてくる。



「交換



するんやろ?」



またそんな…




その気もないのに優しくして―――





響輔の優しさは









残酷だ。










でもそれが響輔だ。