「来ちゃった…江の島…海だよ。
ねぇ海だよ!?」
あたしはシャドウファントムのスタンドを立てバイクを停めている響輔の袖を引っ張った。
本当にすぐ目の前に砂浜が広がっている。
「海やな。
久しぶりや、海」
響輔も物珍しそうに額に手をかざし遠くを眺めている。
日が暮れて、砂浜ではさすがにこの時間帯から泳ぐ人はいないのか僅かな観光客が砂浜を歩いているぐらいだ。
海の家でさえ灯りを消して閉店準備にとりかかっている。
「残念、海に来るってわかってたら水着持ってきたのに」
砂の上に直接腰を降ろし、唇を尖らせると
「あんたの水着姿はなんか色々凄そうやな」
響輔もすぐ隣に座った。
「なぁにあんた、あたしの水着見たいの?♪悩殺よ?鼻血だしてぶっ倒れるかも」
「今更水着で悩殺されるかぃ。こっちはあんたの下着姿を二回も見とるっちゅうねん」
…そうね。その二回も悩殺されなかったし。
響輔は近くのコンビニで買ってきた飲み物のビニール袋をがさがささせて、あたしにミルクティーを手渡してくれた。
自分は缶コーヒーのプルタブを開ける。
ミルクティーをリクエストしたのはあたしだけど、今は甘い飲み物の気分じゃなくなった。
「甘ーい。ねぇそっちと交換して」
「はぁ?俺かて甘いもんは飲まへん。自分でそれが良い言うたやん」
響輔は思い切り顔をしかめて
「いいじゃないコーヒーぐらい。ケチね。
それが朔羅だったら素直に交換してあげるんでしょう?」
あたしが目を釣り上げると響輔はコーヒの缶を握ったまま僅かにうつむいた。
あ…
今あたし
ひどいこと言っちゃった―――



