ロケ現場から数百メートル走ったところで、響輔はようやくあたしから手を離した。
「勝手なことしてごめん」
「ううん…」
しおらしくうなだれてたまには可愛いとこも見せようかな…って思ってたけれど、響輔は乱暴にバイクのヘルメットを手渡してきて
「ほな、行くで」
とあたしは頷いてもいないのに、シャドウファントムのスロットルを回してエンジンを吹かす。
…ちょっとぉ、あたしの仕草にちょっとは反応しなさいよ。
「てか行くって、どこへ行くのよ!?」
結局素直に(?)聞いてしまうあたし。
ヘルメットを両手で包みながら目を上げると
「決めてへん。
一結が行きたいとこ、行こ」
響輔はそう言って自分のヘルメットをかぶると、シャドウファントムの後部座席を目配せ。
こないだ乗せてもらったときと変わらずガンファイターシートだし。
でも
誰か特定の女の子を乗せるためにあつらえたシートじゃなくて、ちょっとほっとした。
あたしは大人しくヘルメットをかぶり、響輔の後ろにまたがる。
「どこでもいいの?」
一応聞いてみると
「ええよ。宇宙の果て以外やったらね」
宇宙の果て―――か。
それもロマンチックでいいかもしれない。
あたしと響輔、二人だけで青い地球を眺めるの。
そこにはあたしのライバル朔羅もいなければ、何かと鬱陶しい鴇田もいない。
過去も、今おかれている現状も忘れ去って
二人だけの世界―――



