。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。





「耳が早いですわね、まだあの倉庫が畑中組の持ち物だと言うこと、


マスコミには伏せてありますわよ?」


彩芽が出し巻き卵を箸の先で切り分け、またも上品に口に入れる。


「何せ焼死体だからな、これから解剖に回すことになるだろうし、詳しい死因が分かるのは最短で五時間後ってところか」


タチバナが腕時計を眺め、


「マスコミが食らいつく前に詳細を報せろ」


俺が言うと


「“知らせてください”だろ?人にものを頼む態度がなってないようだな」


タチバナは俺の顔に箸の先を向けてきて俺は顔をしかめながらも


「シラセテクダサイ」


棒読みで答えた。


「まぁまぁタチバナくん、今回私たち三人は同盟を結んだ仲よ?


いくらイケスかなくて、生意気でも、口が悪くて態度もデカいクソガキでも、情報開示は義務よ」



いけすかなくて、生意気で口と態度が悪くて悪かったな。


しかもさりげなく〝クソガキ”までいいやがったし。


「龍崎さん、あなたは今回の事件、スネークの仕業だと?」


彩芽が聞いてきて、俺は小さく頷いた。


「確かにあそこはスネークと繋がっていると睨んでいる畑中組の倉庫だが、


だからと言って簡単に結びつけるのは無理があるぜ。


お前らしくない」


タチバナに言われ、俺は元々隠すつもりもなかったしあっさりと答えた。


「鴇田んところに書面で接触があった。それがスネークかどうかは分からないが、


Sって名乗ってたしスネークで間違いねぇだろ」