「耳が早いですわね、まだあの倉庫が畑中組の持ち物だと言うこと、
マスコミには伏せてありますわよ?」
彩芽が出し巻き卵を箸の先で切り分け、またも上品に口に入れる。
「何せ焼死体だからな、これから解剖に回すことになるだろうし、詳しい死因が分かるのは最短で五時間後ってところか」
タチバナが腕時計を眺め、
「マスコミが食らいつく前に詳細を報せろ」
俺が言うと
「“知らせてください”だろ?人にものを頼む態度がなってないようだな」
タチバナは俺の顔に箸の先を向けてきて俺は顔をしかめながらも
「シラセテクダサイ」
棒読みで答えた。
「まぁまぁタチバナくん、今回私たち三人は同盟を結んだ仲よ?
いくらイケスかなくて、生意気でも、口が悪くて態度もデカいクソガキでも、情報開示は義務よ」
いけすかなくて、生意気で口と態度が悪くて悪かったな。
しかもさりげなく〝クソガキ”までいいやがったし。
「龍崎さん、あなたは今回の事件、スネークの仕業だと?」
彩芽が聞いてきて、俺は小さく頷いた。
「確かにあそこはスネークと繋がっていると睨んでいる畑中組の倉庫だが、
だからと言って簡単に結びつけるのは無理があるぜ。
お前らしくない」
タチバナに言われ、俺は元々隠すつもりもなかったしあっさりと答えた。
「鴇田んところに書面で接触があった。それがスネークかどうかは分からないが、
Sって名乗ってたしスネークで間違いねぇだろ」



