カー…!


厨房のデザートを作る台の隅で思わず顔を覆ってしゃがみこんでいると


「朔羅ちゃん?あんたの受け持ちはホールよ?


どうしたの、具合悪いの?」


とおネエ店長が聞いてきた。


具合は…悪くありません。ただ戒のキラキラ笑顔にやられました。


とは言えず


「いえ!大丈夫です!すみません」


とギクシャク答えながらあたしは再びホールへと向かった。



―――――


戒と二人…エリナを送り届けて、あたしたちは家の近所のスーパーへお買い物。


エリナが居るときはそれほどだったのに、やっぱり二人きりになると何を話していいのか分からずぎくしゃく。


戒はやっぱりいつも通りで、


「今日はハンバーグが食いたいな~」


と、にこにこ笑顔。


炒飯、麻婆豆腐、鯖味噌、から揚げ、鰆の西京焼き……


「お前、さっきからどんだけ食いもんの話してんだよ!


てかどんだけ食うつもりだよ!!」


龍崎家を破産させる気か!


と、ぎくしゃくはどこへやら…戒の独り言に思わず素で突っ込むと、


「とりあえず食いたいの言ってみただけ。


鯖味噌と鰆の西京焼きは響ちゃんの好物でもある」


と戒は真面目。


キョウスケの好物……かぁ。