「離せキリ。


誰が女子高生と浮気するか。私はロリコンじゃない」


鴇田は鬱陶しそうにキリさんの手を払ったが、その元の冷たい鴇田に戻ってもキリさんは動じることがなかった。


「あら、そぉ?


人に車で待たせて置いて、コーヒーでもテイクアウトしてくるのかと思いきや、あなたは全然帰ってこないし。


店を覗いたらあなたは女子高生をテイクアウト?


面白そうだからちょっと見てたけど」


「だから野暮用があると言ったろ?お前は大人しく待ってろ」


「野暮用が女子高生をナンパ?」


キリさんはまたも鴇田の耳を引っ張り


「痛てぇ!」


人のバイト先で夫婦喧嘩するなよ…。てかまだ夫婦じゃねぇか。


キモ金髪もおネエ店長も、その喧嘩に唖然。


口も挟めず呆然と二人のやり取りを眺めている。


「あの!」


その喧嘩を仲裁するように切り出したのはエリナだった。


「すみません!あたしのせいなんです」


がばっと頭を下げてキリさんは鴇田と…なぜかあたしを見てくる。



――――





「そうゆうことだったの…ごめんなさいね、私てっきりこの人が浮気してるのかと思って」


エリナとあたしの説明を聞いたキリさんは苦笑いで口元に手を当て


「…ついでだから、何か食べて行きましょうか」


と無理やり笑ったままメニュー表を眺める。


その前に鴇田に謝った方が良くね??


そう思ってたが、鴇田も慣れてるのかそれに関しては何も言わず、ただむっつりと腕を組んでそっぽを向いている。


この夫婦、ある意味似合いのカップルなのかもな…