淫行コーチが立ち去って…


「「「…………」」」



あたしたちはぼーぜん。



一瞬の沈黙後、鴇田はガクリと肩を落とした。


「キャラじゃないのは分かってンよ。


おめぇがんばってくれたんだな」


あたしはガクリとうなだれて暗過ぎる影を背負っている鴇田を慰めるように肩に手を置いた。


普段はイケ好かないやつだけど、あたしとの約束はちゃんと守ってくれたみたいだ。


鴇田はガラにもないことをして、未だ自分のダメージから立ち上がれない状態。


「………」


無言でカウンターの上で拳を握っている。


その拳が震えているのは


その究極の演技に自分自身鳥肌が浮かび、震えが止まらないようだ。


「ごほん」


やがて小さく咳払いをすると


「失礼いたしました、お嬢。お嬢のお友達にもお詫び申し上げます。


ああでもしないと効果がなかったようなので」


ネクタイを直し、鴇田が背を正す。


「動画撮っときゃ良かったぜ!」


と戒は悔しそうに指を鳴らし、


「貴様、動画なんて残してみろ。お前のケータイごと東京湾に沈めてやる」


マジで苦痛だったのか、鴇田はいつなく余裕のない表情で戒に詰め寄った。


その鴇田を止めたのは




「東京湾に行くのはあなたの方が先よ。


どうゆうこと翔。



女子高生と浮気??




見た目だけは若いけど、中身はそうじゃないんだから」





「いででで!」


鴇田の耳を思い切り引っ張って登場したのは…





今度はキリさん!!?