■ 通過!? ■





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キョウスケのやつ…とうとう昨日帰ってこなかった。


「どこに泊まったんだ!


はっ!女んところか!?


もしかしてイチ!!?」



一人で妄想しながらトレーを拭いていると、


「あいつに限ってそれはねぇよ。朔羅、俺オーダー取りに行くからレジお願い」


戒は大したことじゃない様子でさっさと伝票を手にカウンターを離れる。


何だよ、冷たいヤツだな。リコにあんな酷いこと言っておいて、あまり反省してないみたいだし。


てか女の子泣かせるなんて最低だ!


…と言うワケで、あたしたちの仲も何だかぎくしゃく…してるのは一方的にあたしだけだけど。


とにかくあたしは怒っている。


揃いも揃って白虎の男共は!!


入れ替わりにエリナが下げたグラスや皿をトレーに乗せて帰って来た。


「サクラ、顔怖いよ…」


エリナは空になったグラスやらを厨房カウンターへ押し込めながら苦笑い。


「だってムカついてんだもん。戒のヤツ自分悪いと思ってないんだぜ?


いくらなんでも言い方ってもんがあるだろ?」


「まぁまぁ、そんな顔してるとお客さん逃げちゃうよ」


エリナは真面目な顔つきでスプーンをあたしにかざす。


銀色のスプーンに映ったあたしの姿は確かにゆがんでいた。


「でもさー、龍崎くんもああゆう態度だけど、きっと素直になれないだけだと思うけどなぁ?」


素直に…


いや、素直過ぎるだろ!


もっとリコに気を遣えってんだ!!