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―* 鴇田Side *―



俺の毎日は不規則だ。


ほとんど龍崎グループで会長のサポートか、自分の事務所で会計処理をしている。


泊り込みの日も多いし、マンションへ毎日帰ってるわけではない。


それでも自分のマンションで迎える朝の日課は―――


どんなに忙しくても守る。


と言っても大層なことをしているわけじゃない。


起きたらまずシャワーを浴びて、シャワーを浴び終えると温まった体にローブを羽織ながら、本日一本目のタバコに火を点ける。


なんてことない日常。


ただ開け放たれた寝室のベッドの上でキリがシーツにくるまりながら寝息を立てている、と言う光景以外。


熱もすっかり引いて仕事に戻っていったイチと入れ替わりにキリが泊まりにきた。


『やんなっちゃう。二日間寝てなくてお肌も内臓もボロボロよ』


そうこぼしていたが、肌はいたってつるつる。内臓に関しても夕食後に500mlのビールを二本も豪快に一気飲みできるからたいしたことないだろう。


しかし疲れているのは本当のようで、昨日は体を合わせることなくキリはすぐ眠りに入ってしまった。


まぁ俺もキリの相手をできるほどの体力が残っているわけじゃないから助かるっちゃ助かるが。


ここ二日間、会長もキリも俺も


新プロジェクトにつききりだ。


俺は開いたノートPCをスリープ状態から、まるで本当の眠りからたたき起こすようにせっかちに立ち上げた。



- eyes-only -≪極秘情報≫



と書かれた黒いページが立ち上がり、俺はマウスを握った。



これが完成すれば、ゆっくり休める。


あと少しだ―――


一人頷いて、タバコを口に銜えたままドアに設置されているポストに移動。


朝刊を取り出そうとしたが、そのポストに新聞と一緒に入れられている一通の手紙に気づいた。