その後マサを呼び寄せ、リコを車で送ってもらうことにした。


もちろんあたしも同乗だけど。


リコを送り届けると


「朔羅、今日は色々ごめんね。そしてありがとう。少し時間が経ったら落ち着くと思うから」


リコはまだ涙の浮かんだ目を拭い、わざとらしいほどの笑顔を浮かべてあたしに手を振ってくれる。


「ゆっくり…ゆっくりでいいからな。無理するなよ」


あたしはそう返して手を振り、川上家をあとにした。



―――

――


家に帰ったら……



あたしのお部屋の中で戒がしかめ面を浮かべて腕を組み、


エリナは黙って戒の向かい側で体育座りをしていた。


掛けるべき言葉に困っているようだった。


もっと早く帰るべきだったか。


エリナの傍に居ろ、とは言ったけれどキマヅそうだ。


あたしが部屋に戻ると


「サクラ…」エリナがぱっと顔をあげ、戒は


「遅かったな」


と、たった一言。


何だよ、お前リコに酷いこと言ったんだぜ?もっと反省しろよな。


リコはちゃんと反省してたってのに。


不機嫌戒につられてあたしも不機嫌。


む゛~と戒を睨んでいると、不穏な空気を読み取ったのか


「サクラ…リコは大丈夫だった?」


とエリナが心配そうに聞いてくる。


「だいぶ落ち着いたよ。ちょっと落ち込んでたけど」


リコの状態を説明すると


「じゃ、俺も部屋戻るワ。新垣さんごゆっくり」


とこれまたいつもと違って無愛想に出て行く。


何だよ!お前っ!!


怒鳴り返してやりたかったが、エリナの居る手前それもできず…


あたしは帰る戒の姿を黙って見送るしかできなかった。


そしてこの日キョウスケは






帰ってこなかった。