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涙が落ち着いたリコはまだハンドタオルで目元を押さえながら


「龍崎くんの言ったとおり。今のこんなあたし誰だって好きになってくれないよ」


ブランコの鎖を握った。


夕暮れの公園。


近くにこんな公園があったこと知らなかった。


どこをどう走ってきたのか分からないから、帰れるかどうか心配だったけどマサにでも迎えに来てもらえば何とかなりそうだ。


公園には人がおらず、今はブランコに乗ったあたしたち二人だけ。


その影がどこまでもどこまでも遠くへ伸びていた。


「気にするなよ。


誰だって失言ぐれぇあるだろ。


あたしを見ろよ!失言ばっかだぜっ」


言ってて悲しくなったが…


「あはは」


リコは無理やり笑ってくれた。


そこは否定して欲しかったんだけどなー…


「あたし……龍崎くんにひどいこと言っちゃった」


リコは俯いて地面に視線を落としながらぽつりともらした。


「気にするな。あいつ胃は弱いがその分ハートは強い。そう簡単に壊れたりしねぇよ」


気休めに言ったが


「あたし……龍崎くんに今までいっぱい助けてもらったのに……恩を仇で返すこと…」


恩を仇で…とか、リコいつからそんなに義理堅くなったんだよ。


てかキョウスケや戒に染まってヤクザになってきてんじゃね??(←一番の影響は朔羅からです♪)


…て、そんなこと考えてる場合じゃなくて。


「そんなんあたしだってたくさんあったよ。


あたしがまだあいつと付き合う前、あたしはあいつをいっぱい傷つけた。


それでもあいつ―――いっつも笑ってくれてた。


そりゃ多少言動がキツイときもあるけどさー、それは相手に本気で向き合ってる証拠だぜ?



あいつも友達としてリコが好きなんだよ」





キィキィ…



夕暮れの公園に錆びれたブランコの音だけが響く。



「うん……私も…友達として龍崎くんが好き……


あたしたち…仲直りできるかな」



リコは顔を上げ、その大きな目にはやっぱり涙が溜まっていた。



「大丈夫だって。


あいつは忘れやすい性格だからな、あたしと喧嘩しても次の日ケロっとして普段通りだ。



だから安心しな」






リコは「ああ、そんな感じ」と言ってまたも無理やり笑う。


ホントはリコが一番辛いはず。


キョウスケにフラれたばかりで、おまけに戒とも喧嘩しちゃって…



でも



何とかして立ち直ろうと必死だ。


可愛いリコ。



私にとってかけがえのない―――親友。



親友の悲しみを受け止めてあげたい。恋を応援してあげたい。


私はブランコから飛び上がると、リコの真横に来て


リコの頭を抱きしめた。



「朔羅~~~!!」



リコはあたしに縋って大きく泣き声を挙げた。


大好きなリコ。



あたしがリコの不安や悲しみを受け止めるよ。