「リコっ!」


龍崎組を飛び出して走り去っていくリコを追いかけ、ようやくその後ろ姿に追いついてあたしはリコの肩に手を置いてリコを呼び止めた。


「き、気にするなよ!戒の言うことなんてさっ。


あいつ何も知らないから、あたしからきつく言っておくよ!」


必死に宥めるも、涙を浮かべたままリコは顔を横に振る。


「ちが……違うの…あ…あたしが…あたしが悪いの。


龍崎くんに八つ当たりした…」


「そりゃリコは今キョウスケと色々あって不安定だから、しょうがないよ…


誰だってやり場のない怒りや悲しみを、近くに居る人にぶつけて





関係ない人を傷つけたりするもん」




あたしだって―――




戒や叔父貴……そしてキョウスケをいっぱい傷つけた。




でも反省して成長できれば、それもありかもしれない。


最近…ごく最近そう思えるようになったのは鴇田が




『あなたは自分の発した言葉に責任を持ち、反省することができる。


人の痛みを感じて、思いやることができる。


それは人として素晴らしいことだと私は思います』





そう言ってくれたから―――




リコだってそう。



どっちが悪いなんて第三者なあたしが決めることはできないけど、でも自分の言動の意味を考えて反省しようとしている。



リコだって素晴らしい人間だよ。