「タクの天敵はユズだけだ。キョウスケとは仲が良いし、それだけでアイツを嫌ったりしないよ。
そもそもそんな陰険なヤツじゃない。
保障する」
タクはあたしが小学生の頃に拾ってきた家出不良少年だ。
まだ二十歳いってなかったアイツは、バカにもほどがあるって言いたいぐらい無鉄砲で、龍崎組の連中に喧嘩を吹っかけた。
当然組員たちに半殺しに遭って、東京湾に沈めるか?と組員が相談していたのを覚えてた。
それを引き止めたのがあたし。
その後タクは龍崎家となじむために必死に努力した。今では仲間ができて、その絆の大切さも学んだ。
『お嬢を人間としてはすっげぇ好きだな。俺もキョウスケと同じで、拾われたようなもんだから。
お嬢にはいっぱい助けてもらって、ホントに感謝してもしきれないぐらいだ。
俺は会長に…って言うよりもお嬢についていきたくて。だからあの人を裏切るようなことをしたくねぇんだ。
お嬢が居る限り、俺は極道に居続けるつもりだ』
いつかの台詞を思い出す。
アイツは人情に富んだすっげぇいい漢(オトコ)だ。
と思っていたけど……
コンコンっ
「お嬢!アイスココアお持ちいたしました!」
と、何とかリコに近づきたいのだろうか、いつもならマサが持ってきてくれる飲み物を
タクが持ってきてくれたとき、
「こ……ここに…置いておきやすね!」
チラッ
リコの方を見ては慌てて視線をそらし、ちょっと嬉しそうに頬をほころばせるタク。
漢(オトコ)……
じゃなくて…
おめぇは恋する女子中学生かよ!!
って突っ込みたくなった。



