――――





女の子の友情ほど複雑で、同時に単純なものって無いと思うよ?


「今年の秋はちょっと濃い目のピンクが来るみたいだよ。


川上さんにはこのパールが入ったローズ色が似合いそう♪」


「ほんと~??♪じゃぁこのグロスにはどんなチークが合う??」


リコはすっかり新垣 エリナと意気投合したみたいで、例のごとくドラッグストアの化粧品コーナーで楽しそうに談笑。


「なぁんかぁ~もっとイヤな子かと思ったら意外にいい子だね」


現金なリコは新垣 エリナの天使笑顔にやられてすっかり丸め込まれて(?)るし。


ま、あたしとしちゃ女子同士いがみ合うのは好きじゃないから、仲良くしてくれて嬉しいだけど~



でも



あたしは二人のコスメトークについていけず、彼女たちの話に頷くだけ。


「龍崎さんはこっちの色が似合うと思うよ。ちょっとベージュが入った色身が大人っぽい印象になるよ」


そう言われて一本のグロスを手に取る新垣 エリナ。


見た目も可愛いプラスチックの入れ物に入ったグロスは、確かにきれいな色をしていた。


大人っぽくて可愛い…


「こうゆうの何て言うんだっけ…」


グロスを持ったまま二人に尋ねると




「「大人可愛い☆」」




二人が声をそろえて、言葉を発したあと二人して顔を見合わせた。


何だよ二人とも。息ぴったりじゃねぇかよ。



「くすくす」


新垣 エリナが先に笑い出し、


「川上さんってすっごく喋りやすい♪」と小鳥のように笑う。


「え…!あ…ありがと…」


リコは顔を少しだけ赤くして、照れ笑い。



何だかいいよな~こうゆう和気藹々としてるのって♪


やっぱいがみ合うより仲良しの方がいいって。