■ ロミオとジュリエット!? ■




『顔も見たくない、出て行け』





叔父貴にあんなこと言われたのはじめてだ。


ショックと悲しみで今にも足元から力が抜けて倒れそうだったけれど、あたしは自分の足でちゃんと歩いて、


しっかりと前を向いている。


いつもなら張り裂けそうな悲しみに涙を流していたかもしれないけど



「朔羅、大丈夫か……?」


「お嬢……」



戒とキョウスケ……二人の前で涙は見せちゃいけない。


「大丈夫だよぉ!ちょっとびっくりして、心臓バクバクいってるケド。


てかやっぱり叔父貴の雷怖ぇえよな」


あたしは何でもない素振りで笑ってみせた。


無理やり浮かべた笑顔がぎこちなく引きつっちゃうのが分かって


「でもさ!マイクロチップはうまくいったみたいだし、叔父貴も鴇田もあの様子だったら気付いてないよ。


それにお前らも来てくれたし。


結果的に無事だったわけだし~??」


一緒についてきているキリさんに聞こえない程度にわざと明るく笑って、あたしは戒の背中をバン!と叩いた。


「……無理すんなよ?」


戒があたしの手をそっと握ってきて、


「あはは!大丈夫だよぉ!てかお前らも部屋に帰るのか?」


あたしが聞くと


「部屋に……」


言いかけて戒は再びぎゅっと力を入れてあたしの手を握ってきた。



「今夜は、お前の傍に居る。



響輔も一緒だから、悲しくなったり泣きたくなったりしたら、




いつでも




泣けばいいよ。





俺が…俺たちがお前を受け止めるから」