「クソガキども…」


叔父貴は忌々しそうに戒とキョウスケを睨み、そしてその射るような視線をあたしに向けた。


はじめて向けられた。


それは敵意を含んだ鋭い視線。






「お前もだ、朔羅!!」



急に怒鳴られてあたしの肩がびくり、と震えた。





「お前は俺の気持ちを知っていながらそれを利用した!




信じたかったよ、お前が企みも何もなしに俺の部屋に来ることを!




お前を手に入れようと誘ったわけじゃない!俺はただ昔のように…お前に笑って欲しかっただけだ」






どうして……





絞りだすような声を聞いて、あたしは思わずキョウスケの腕の中ぎゅっとキョウスケのワイシャツを握った。


そうでもしないと、何かを掴んでないと


あたしがやった行いがぐらぐらと崩れていきそうになる。



叔父貴の気持ちごと、こなごなに引き裂いて。




あたしが薔薇の花束をぶつけたせいか、叔父貴の頬にわずかな切り傷ができていてそこから赤い血が流れていた。




棘で怪我をするのは叔父貴か―――





あたしはそっと自分の手のひらを見つめた。



同じように赤い血が指の先ににじみ出ていて、



決して同じ血じゃないのに、そこには何の関係もないのに






あたしたちが負った傷は同じものだった。





そのことに気づくのは、





もう少し後。