「明日から?」
男は警戒していた表情から一変、きょとんとしたように目をまばたき。
「話合わせてください」
と、キョウスケに言われているようでちょっと腕を小突かれて、あたしはぎこちなく頷いた。
「そ、そうです!お世話になります!」
「こちらこそ…てかオタク誰??」
男は一応は納得したものの、キョウスケを見てちょっと怪訝そうに顎を引く。
「あれ?覚えてません?臨時のボーイですよ」
またもキョウスケが言い訳して、
「ボーイ…う~ん…居たっけかなぁ」と男が首を捻って考えている一瞬の隙をついて、
男の首、目掛けてキョスウケの回し蹴りが決まった。
男が壁に打ち付けられ、
「ぐっ!」とうめき声を漏らす。
「覚えてないのは当たり前。俺、従業員じゃないし」
と冷めた目で男を見下ろし、でも一発で静かにならなかった男が慌ててケータイを取り出した。
外部に連絡取ろうってか??
「そうはさせるかぁ!」
今度はあたしが男の手元を蹴り上げ、ケータイが吹っ飛ぶ。
「おめぇに恨みはねぇが、ちょっと大人しくしててもらうぜ」
あたしは男の首根っこを掴むと、壁に叩き付けてやった。
顔面ダイブした男は脳震盪を起してあっけなく崩れ、今度こそ起き上がってくる気配がなかった。
倒れた男の鼻から鼻血が流れていて、鼻の骨を折っちまったことに気付いた。
「すまん」
あたしは両手を合わせて伸びてる男に詫び―――を入れてるときだった。
「朔羅。それに響輔―――…」
プライベートルームから戒が目を開いて顔を出していて、今度こそあたしたちは固まった。