あいつ、何やってんだ?


戒は薄暗い部屋の中、ペンライトの光だけを頼りに片手でページをどんどん捲っていく。


「くそっ。どこにあんだよ…」


イライラしたように乱暴にページを捲り、


やがてページ捲りに集中するため、ペンライトを口で銜えたまま両手で書類の束を掻き分ける。


ページを捲くるのに集中してるのか、戒はあたしたちが見ていることにも気付かない。


やがて目当てのものを見つけたのか、戒はそのページを乱暴に引き抜いて小さく折りたたむとジーンズの尻ポケットにねじ込んだ。


な、何盗ったんだ?


それだけで終わるかと思いきや、戒は机の上のパソコンに向かう。


「くっそ、やっぱパスとロックが必要か」


そう呟いたときだった。


パッ!


突如廊下に明かりが灯って、あたしたちは思わずプライベートルームの扉を後ろ手で閉めて硬直。


「なっ!何だお前らっ!」


若い男だった。ここの従業員だろうか。


不審者なあたしたちを見て指差すと、男は驚いて一歩後ずさる。


ど、どうしよう。


だらだらと冷や汗を流していると


「あれ、知らなかったんですか?明日からこの子ここで働くことになったんですよ」


キョウスケがまたもとんでもないことを言い出しやがった!