あたしは慌てて扉を開けると


「失礼します」


恭しく言って二人が入ってくる。


あたしは扉をきっちり閉めると、二人の方を振り返った。


「てかお前らどーしたの!その格好!!」


何プレイだよ!?


コスプレか。


「こうでもしなきゃお前の部屋に入れないからさ」


「ガードマンのスーツを少しの間拝借しました」


いやいやいや…


貸してくれるほど平和な人間は居ないだろう。どうやったのか分からないが力ずくで奪ったに違いない。


てか、スーツ姿の戒…


いつも降ろしてる前髪も叔父貴みたいにオールバックにしてあるし…


い、色っぽい!


ぶぉ!!


鼻血を噴出しそうになって慌てて鼻を押さえる。


「時間がありませんので手短に説明します」


ガードマンキョウスケがインカムと集音マイクを手渡してきて、噴出す寸前で鼻血は止まった。


ふぅ、助かったぜ。


「これは響輔が周波をいじったから、会話は俺たち三人の間でしか聞こえない。


いいか、龍崎 琢磨の部屋に入ったら、あいつの隙をついてこのマイクロチップをパソコンに入れろ」



戒が小さなSDカードみたいなものをかざした。


「電磁波の追跡装置です。パソコンを持ち出すより簡単でリスクが少ない。


いいですか?このマイクロチップのプログラムは、ウィルスだと考えてください。


ダウンロードするまでに二分ほど掛かります」


キョウスケの言葉に頷きながら、あたしは頭の中で手順をおさらい。


「ダウンロード完了画面が出たら終わりです。所要時間は掛かっても五分以内」


「バレそうになったらこのUSBメモリでごまかせ。


お前がパソコンのデータを盗もうとしてる、と龍崎 琢磨に思わせるんだ」


次にUSBメモリを渡されて、あたしはまたも大きく頷いた。


「USBはダミーで、本命はこのマイクロチップ。これさえバレなければ大丈夫です」



計画は単純だった。


それほど難しいことじゃないし、あたしでもすぐに理解することができて、またも大きく頷くと、戒はあたしの耳にインカムのイヤホンを入れて、髪をそっと撫でた。