俺は言われた通り手をゆっくりと挙げ、ハジキを放り投げると、対峙していた男もゆっくりと銃を下げた。


「一体…そのガキ…何だってんだ!」


男が急な襲撃に分けも分からずと言った感じで怒鳴りながら近づいてくる。


「今日の食事会参加者の一人だ。龍崎会長から見張っておくよう言われてる」


響輔がそう続けて、俺の背後からハジキの銃口を押しやり俺はよろけるように一歩前に進み出た。


「大したガキだよ」


響輔が言って、


「ああ…あなどっていたな。どうする?報告するか?」


響輔を本物のガードマンだと思い込んでいる敵が響輔に意見を求め


「その必要はないだろう」響輔のその返答と共に俺は振り返り、響輔の腕を掴んだ。


対峙していた男が再びハジキを構え、だが俺の方が一秒早かった。


響輔の手の上からハジキを掴み、引き金を引くと男があっけなく倒れる。


男の腕に命中したようで、男は倒れながらも何とか集音マイクを引き寄せる。


連絡しようと言う寸法だ。


響輔は俺から腕を離すと走り出し、男が何か言うより前に男の手元を蹴り上げ、宙に投げ出されたハジキをキャッチ。


それで一発殴ると、男はとうとう意識をなくしたのか静かになった。


「言ったでしょう?その必要はないって」


響輔が男のわき腹を足で蹴り上げ、ハジキを滑らせて俺に寄越す。


「お前も、大したヤツだよ。


あの場で演技とか。


はじめての共同作業~?♪」


男の服を脱がせながらふざけて言うと、


「俺を殺人の共犯にしないでください」


響輔は冷たく言って男からインカムを奪う。


「誰も殺っちゃいねぇえよ。全員意識を失ってるだけだ」


「そのようですね。あなたのシューティングの成績が良かったことが証明されました。


これでインカムも三つ揃いました。急ぎましょう。エレベーターは監視カメラがあります。


非常階段で」


響輔は非常口を目配せ。さっきの銃撃で鉄の扉にあちこち銃弾が埋まっている。


「言われなくても、俺はエレベーターが苦手や」








待ってろ、朔羅―――……






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