「パソコンを手に入れて、さらには龍崎 琢磨の指一本触れさせないように朔羅を奪還する。


スピード勝負だ」


俺が響輔を見て真剣に言うと


「それと綿密な下準備がね。まずはインカムを手に入れましょう」


響輔も真剣に頷き、俺たちは計画を話し合った。




チャンスはたったの一回。



失敗は許されない。





――――





あーでもない、こーでもないと計画を話し合って、結局結論が出るとすぐに俺は食事会の会場に戻った。


響輔は時間差で数分後に戻ってもらうようにした。


朔羅は大人軍団に囲まれて……てかおもちゃにされて??彼らの会話に必死に相槌をうっている。


俺が戻ると


「戒!助かった」と言う意味合いで顔を輝かせる朔羅。


「何やの、あんた。遅かったわねぇ」


とおかんに小言を言われたが、


「まぁまぁ姐さん」と響輔のおやっさんに宥められている。


料理を食いながら俺はすぐ隣の朔羅に小声で、


「朔羅、俺と響輔で何とかインカムを手に入れる。響輔が俺ら三人専用に改造するから受け取ったらそれで指示を出す。


それまで動くな」


早口に言ったが朔羅は理解してくれたようで、ナイフを握りながら頷いた。


それから響輔が戻ってきて、食事会は再開。


フランス料理のフルコースを味わい、食後のコーヒーを飲みながら



「お前たちはこの後、どうする?泊まっていくのなら部屋を用意するが」



と向かい側に座った龍崎 琢磨がコーヒーのカップに口を付け意味深に微笑する。





『逃げ出すなら今のうちだぞ、小僧。


どうせお前には何もできない』





そう言われてる気がした。





冗談、誰が逃げ出すかっつうの。


お前の好きにはさせへん。





「じゃぁ泊まっていこうかな。俺らこんなホテル泊まれることなんてないし~


な?響輔?」



響輔の方を振り返ると、響輔も頷いた。






計画スタートだ。




見てろよ龍崎 琢磨。





白虎の底力、見せてやるぜ。