******************

** 戒Side **



「あたし、叔父貴の部屋に行く」


朔羅はそう言い残して個室を出ていってしまった。


「大丈夫、あたしは信じてる。


戒が必ず助けてくれることを」






助け出すさ。



必ずな。






個室の壁に寄りかかって作戦を練っていると、すぐに


コンコンっ


控えめにノックする音が聞こえてきて、


「戒さん?俺です」


響輔の声が聞こえてきた。


龍崎 琢磨は文字通り「朔羅と引き換えに」と条件を守ってくれたみたいだ。


俺は扉の鍵を開けて、個室の中を顎でしゃくる。


「入れよ」


「どうしたって言うんですか」


個室に入った俺と響輔。


「「………」」


「近いし…」


「だって個室ですよ。二人で入ることはまずないでしょう?」


「まーそーだけどぉ…」


響輔はちょっとかがんで、床に落ちた何かを拾い上げる。


それを見て響輔は無言で目を細め


「な、何だよ」


思わず一歩後退すると、





「お楽しみ中だったみたいですね」





さっき落としたゴムのパッケージを俺の目の前でふらふら。


「え!いやぁ…未遂だったって言うか…琢磨さんの乱入でできんかった言うか」


バカ正直に答えてしまって


バンっ!!


さっき朔羅を追い詰めてたってばかりなのに、今度は俺が壁に追い詰められる番。


響輔は開いた手の平を壁につき、






「こんなときに何考えてるんですか」






無表情で言われて、俺はたじたじ。


「響ちゃん、怖いで」






ご…ごめんなさぁぁあーーーーあい!!!