隣の個室を隔てる壁の上から手がにゅっと出てきて、
「詰めが甘いぞ、朔羅。
お前が戒とこの場に来てることは百も承知だ」
タバコを口の端でくわえた叔父貴がニヒルにニヤリと笑いながら衝立から顔を出す。
あたしは戒にお姫さまだっこをされた状態でピキリと硬直。
「お。叔父貴!ぐーぜん!!!」
…なんてあるわけねーだろ!
自分の中で突っ込みをかますも、叔父貴は喉の奥でくすくす低く笑い
「そんな狭いところで作戦会議か?ご苦労なこったな」
「あんたが何も喋らないから、俺たちがこそこそするしかねんだろ」
戒があたしを抱き上げたままの格好で叔父貴を睨み上げる。
「ま、それもそうだが。
会議なら許せるが、不純異性交遊だったら
許るさんぞ」
叔父貴はドスを含めて戒を睨み降ろすと、口の端からタバコを抜き取った。
その火がついたタバコをあたしらの個室の中に落とす。
タバコは戒やあたしにぶつかることなく、まっすぐに便器の中に落ちた。
ジュっと音がしてタバコの火が消化される。
「結婚前に朔羅に手を出してみろ?
根性焼きだけじゃ済まさないからな」
戒も口からタバコを吹き出すと、同じように便器の中にタバコは落ち
「そっちこそ。
女子高生と火遊びなんて、変なことするなよ。
あんたの会社ごと火だるまにしてやる」



