戒は慌ててあたしをお姫さまだっこ。
「声出すなよ?」
と、こそっと耳打ち。
個室の扉と床にわずかな隙間があって、叔父貴の影がちらりと見える。
あたしはごくりと生唾を飲み込んだ。
「朔羅、タバコ!俺のポケットからタバコとって」
またも囁くように言われて、あたしは慌てて戒のジーンズの尻ポケットから、仕舞われていたタバコを取り出し、一本くわえさせるとライターで火をつけた。
「お前、何やってんだ。具合でも悪りぃんか?」
叔父貴が個室をノックして、それでもタバコを吹かせるためもたもたしていたあたしたちを訝しむ様子で
「戒、居るんだろ?」
と、乱暴なノック音が聞こえる。
「うっせぇな!一服ぐらいさせろよ。
それとも何。あんた俺の保護者だから、未成年だからタバコはやめろって注意しにきたくち?」
戒が不機嫌に答えると、
「一服?なら喫煙室でしろ」
と叔父貴も不機嫌そう。
だが戒の喫煙には説教するつもりはないらしい。
まぁ自分だって高校生のときから吸ってたし、文句は言えないってのが正しいか。
「ここは火気厳禁じゃねぇだろ?誰かと連絡を取ってるわけじゃねぇし、俺がどこで何をしようが勝手だろ」
「まぁそうだな。朔羅も居ないからまたお前がどこかに連れて行ったかと思ったが」
ギクぎくぅ!!
めちゃくちゃここに居ます!
てかバレたらマジで戒は殺されるかも!!
あたしは両手で口を覆って顔をふりふり。
戒のタバコのおかげであたしの香水の香りも消せてるし、黙ってりゃなんとかなりそうだけど。
「俺も一服してく」
叔父貴はそう言い出し、なぜか隣の個室に入るとドアを閉めた。
ぎゃぁ!マジで!!
てかこの状況、どぉよ!!



