何て答えていいのか分からなかった。


あたしはそんなにありがたがられる存在じゃない。


龍崎家を出ればただの女子高生だ。


だけど、そんな女子高生に敬意を払ってくれる。


「堅苦しいのは嫌いなんですわ、


かりにも貴方は戒の婚約者やし。結婚後は私の家に来ていただくこともたびたびありますよって、


気軽に接してください」


親しみやすい関西弁でそう言われて急に肩の力が抜けた。


「大丈夫か、朔羅。


親父、朔羅をビビらせてんじゃねぇよ」



「ム。


私は怖がらせたつもりはない。


ただ、予想以上に可愛い子やったから、ちょっとドキしてまっただけや」


ドキ??


いや、あたしはまだ(色んな意味で)ドキドキいってますけど。


「おかんに言いつけてやる!親父が他の女に色目使こてるてな!」


「そ、それだけは堪忍!」


戒のおやっさんは急にあたふた。


「私が愛してるのは鈴音だけや」


「あんた相変わらずやね。おかんにラブラブ。きしょいわ!」


戒がブルブル身震いして、


あれ??


さっきの怖いまでの白虎の気迫はどこへ??


あたしは思わず首をひねった。