「は、はじめまして!龍崎 朔羅と申します!」


弓枝姐さんの反応を考えると名乗るのが億劫だったが、


「ああ!お嬢さんが龍崎はんの姪御さん!


いやぁ会いたい思うてたんです」


弓枝姐さんのときと違ってこっちはかなり友好的。


しかも


「お初にお目に掛かります。私、鷹雄 響輔の父、鷹雄 耀司(タカオ ヨウジ)言います」


キョウスケパパは恭しくお辞儀をして、スマートな仕草であたしの手をそっと握ると手の甲にそっと口付け。


へ!?


びっくりして目をまばたくと


「気ぃつけろよ、朔羅。


響輔のおやっさんは過去に女100人斬りした伝説の男だ。


弓枝姐さんと出会ってから、姐さんに一目ぼれしたおやっさんがその日から毎日ラブレターと贈り物攻撃、


二年掛けて口説いて、ようやくお付き合いの兆しが見えたらそのまま役所にGoだ。


ほとんど強引に弓枝姐さんと結婚して、うまく収まったわけだけど」


100人斬り…


役所へGo…



色々、凄い経歴をお持ちで。


あたしは目を点。


キョウスケがまともに育ったのが不思議だな。


だけど忍耐力だけは受け継がれてるみたいだ。


「俺の嫁さん候補」とあたしを勝手に紹介。


「ほんまか!男なら奪ってなんぼや!!


俺かてお前の母さんを落とすときは、あの手この手で……」


おとーさん、それ以上は言わないでください。


ガンッ!


すぐ近くで物音が聞こえて、どうやらグラスの水を飲んでいた叔父貴がグラスをテーブルに叩きつけた音だと気づいた。


あたしは振り向かなくても分かる。



叔父貴……背中から殺気が駄々漏れなんだよ!