■ 親父軍団登場!? ■


追い出されたあたしたち五人は、違うお部屋に行くわけでもなく


そのホテルの1フロアを贅沢に使った、これまた豪華できらびやかなレストランへ連れて行かれた。


客はあたしたち以外誰も居ず、白いクロスが敷かれた丸テーブルだけが寂しそうに配置してある。


客は居ないのにウェイターやボーイだけはやたらと多く、ビシっとした制服に身を包み


あたしたちが入ると恭しく出迎えてくれた。


「いらっしゃいませ、龍崎様」


「今日は貸切りだ。この日のために」


叔父貴はそう言って近くのテーブルに促す。


「お飲み物でも?」


ウェイターに声を掛けられて、あたしは戸惑いながらウェイターを見上げた。


「なんでもあるぞ?オレンジジュースに、グレープフルーツ、コーラにウーロン茶。酒はダメだぞ」


叔父貴にそう言われて


「じゃ…オレンジジュースを」ぎこちなく答えて、戒とキョウスケもそれぞれアイスコーヒーを頼んだ。


鴇田は無線でしきりとやり取りをして外の様子を伺っているし、叔父貴もすぐに違うテーブルでパソコンを開いている。


「何であのパソコン起動しとるんや?電波妨害されとるんやろ?」


戒はこそっとキョウスケに耳打ち。


「恐らくあのパソコンだけインカムの周波数と同じ周波をキャッチできるように細工してあるんでしょうね」


「なるほどね…」


二人のやり取りはあたしにとってまるきり意味が分からず、何だか一人取り残されたような居心地の悪さを感じた。


一気にいろんなことがあって緊張と不安で、喉はカラカラに干上がっていたのに出されたジュースには口を付ける気にもなれない。


いかにも高級そうな絨毯にシャンデリア。見慣れない豪華な雰囲気に、なぜか異世界に連れてこられた気がした。


リコや千里、戒とキョウスケ…それからキモ金髪とファミレスでくだらないバカ話で盛り上がってたことが懐かしい。


あたしにはよっぽどそっちの方が楽しいし、似合ってる気がした。


思わずぎゅっと膝の上で手を握ると、その手の上に戒の手がそっと重なった。






「弓枝姐さんのことは、お前が気にすることないよ。



悪いのは俺やから」