「あら……あらあらあら!昨日はどうもぉ」


「あ、はい!こちらこそ」


あたしは慌てて頭を下げて、ちらりと目だけを上げた。


「知り合いだったんですか、姐さん」


鴇田が聞いて、


「道に迷ったときに親切に教えてくれはったんです。えーっと…あなたは…」


和服美人が部屋の中のメンバーを見比べ、


叔父貴がソファの後ろからあたしの肩を両手を置いた。



「紹介がまだでしたね。



俺の姪で朔羅です。



朔羅、こっちは弓枝姐さん。知っての通りキョウスケの母君だ」




「龍崎はんの、姪御さん?


ほな…戒くんの―――婚約者……」





弓枝姐さんは変な風に表情を固まらせて、戒とあたしを交互に見やる。


だ、だから言い出しにくいってのもあったんだよ。


戒はあたしの前に、キョウスケの妹との縁談話が持ち上がってたし、キョウスケママからしたら面白くないだろう。


スカートをぎゅっと握ってうつむいてると


「お夕飯までまだ時間があるでしょう?女性陣は支度があるから、あなたたち違うお部屋で待機していて」


キリさんが手を叩いて、あたしたち三人と叔父貴、鴇田を部屋の外へ追い出した。