「あ、あはは~…また今度の機会に…」


あたしはすぐ隣で睨みを利かせている戒が怖くて見れず。


笑ってごまかしたけど


「冗談だ。行くぞ」


そう言われて叔父貴に手を引かれる。


その触れた手に、何かの小さな紙切れを手渡された。


それはほんの一瞬の隙に。


何だろう。


思わず開こうとすると、叔父貴はその手を阻んだ。






「俺の部屋番号だ。




気が向いたら来てくれ」







叔父貴は誰にも聞こえない小さな声でつぶやき、


ドキリ


またも心臓が強く打つ。


あたしは慌ててメモ用紙をスカートのポケットに仕舞いいれた。



行かないよ。




行けないよ。





だって叔父貴の気持ちを知っちゃったから。


その扉を開けた瞬間、あたしは叔父貴の姪じゃなく、“女”の意味を持つから。


でも厳戒態勢の中、あたしを誘ってきたのは



他に意味があってのことだろうか―――?