せっかく警察から逃げれたのに、今度は監獄へ送られる気分で不安を抱いていると、


鴇田が運転するセルシオはこれまた豪華な都内の一流ホテルの玄関に停車した。


正面玄関に車を着けると、ドアマンが扉を開いてくれる。


一応…地獄じゃないみたいだケド。


「お帰りなさいませ」


一応ドアマンの制服は着てるケド


どう見たってヤっさん!じゃねぇか!


あたしが目を丸めて叔父貴とドアマンを見比べていると、鴇田も車を降り立ち


「あとは頼む」と言ってあたしたちをホテルの玄関へ促した。


「すっげぇ…俺、あと何年したら泊まれるんだろ…」


と戒は白くてきれいなホテルを見上げてこめかみを掻いてる。


「泊まっていきたいのなら、数時間後にでも可能だぞ?


ただし、朔羅とは別の部屋だがな」


叔父貴はふん、と鼻息を吐いて


「あんたも泊まってるんかよ」


と戒は叔父貴を目配せ。


「泊まってる」


叔父貴は小さく呟き、そのあと戒とキョウスケは


「ほんまにここに居るんかいな」と二人でひそひそ。


その間に、



「そうだ。


どうだ、朔羅。



今夜俺の部屋にケーキ食べにこないか?




地上40階から見下ろす夜景は見ものだぞ」




「行くっ!♪」


いつもならそう言って飛びついてたあたしだけど…


叔父貴が誘ってくるのは深い意味があってのことで…


その深い意味を知ってしまったらなお更、




行けねぇ。