「あいつは…軽蔑なんてせぇへんよ。



あいつは誰よりもあんたの痛みが分かると思うし。


あんたが言うとおり、あいつほんまに優しいヤツなんや。



それにあいつだけは、あんたの痛み等身大で受け止めれるやっちゃ。


あんたの心の痛み、オトコの俺には分からへんし…


あいつに聞いてもらうとすっきりするんちゃうか?」



戒が優しく言って、新垣 エリナを宥めている。





二人の会話から…大体―――…何があったのか分かった…



戒がこうまでしてあたしに秘密にしたがった理由も。





最初から気付いてたのかもしれない。


コーチと名乗る男に出会ってから。




あたしの傷。




それはあたしを守ることでもあったんだ―――…




「……うん、…うん!ありがとう…龍崎くん!」


新垣 エリナはとうとう声を挙げて泣き出した。



あたしも新垣 エリナと一緒に泣きたくなった。


キョウスケはただ黙ってあたしの肩を優しく撫でてくれる。



キョウスケも―――何となく気付いたのかもしれない。



「どうします……?戒さんどこかへ向かうつもりですけど…


戒さんの口から直接話を聞くまで待ちますか?」


そう聞かれたけれど、あたしは頭を振った。


戒がどこで何をしようが、結果を話してくれるまで待つのが一番だけど


今のあいつは体調不良だ。





「このまま後を尾ける。


影で戒のサポートだ」