とは言っても、叔父貴の居る手前鴇田に迫ることもできず…


鴇田の運転するセルシオが走り出してすぐ、


「お嬢たちと合流。ポイントAを通過。これから向かう」


と無線で知らせている。


誰と話してるのか謎だった。秘密が多い男だぜ、まったく。


てかこれから向かう…ってあたしたちも??


「悪いが少し付き合ってもらうぞ。お前らにとっては嬉しい客人に会える」


叔父貴が後部座席の両端に座った戒とキョウスケを意味深に目配せ。


「選択その①、龍崎 琢磨に会いに行く」


あたしの右隣に座った戒がぼそりとつぶやき、


「その②、彩芽さんのアリバイを確認しに行く」


今度は左隣に座ったキョウスケがぼそり。


「どうやら俺たちに選択する余地はなさそうですね」


「強制連行やな。ムショが龍崎 琢磨の目的地に変っただけや。


状況的には良いとは言えへん」


戒は不機嫌に答えながら腕をついて窓の外を眺めていたし、キョウスケは腕を組んでミラーの中の鴇田を見据えてる。


「ど、どこへ行くの?」


代わりに叔父貴に聞いたのはあたし。


「都内のホテルだ。今日はご馳走が食えるぞ~」


叔父貴はこの重苦しい雰囲気の中場違いなほど無邪気に笑って、ちょっと身を乗り出すとあたしの頭を撫で撫で。


久しぶりに叔父貴に撫でられて、ドキドキ…


隣から怖いほどの視線にどきどき…↓↓


戒!怖ぇえよ!そんなに睨まないでっっ!



あたしはムショより、叔父貴の目的地よりもこの場が一番イヤ!!