「どーしてだよ!」


思わず唸って二人を交互に見やると、


「犯人の目星はついてる。コードネームは“白へび”


ヤツが何者なのか正体は掴めてないが、ヤクザとつながりのある殺し屋を刑事が本気になって探すはずがない」


戒がテーブルの上に腕を置き、ゆっくりとした仕草で手を組んだ。


「ヤクザ同士で相打ちになってくれることを願ってるだけですよ。


余計な情報を敵に知らせることもないです」


キョウスケもそう言ったけど。


「でも殺人だぜ!クスリとか、武器売買なんてレベルじゃないよ」


「でも死体はない」


戒があたしの言葉にかぶせるように言って


「凶器もない」


キョウスケが後を引き継いだ。


そりゃもっともだけど…


「だってこの目で見たわけだし…」


「刑事に本当のこと言わないのは、俺たちが次の標的になるかもしれないってこともあるからだ。


白へびの雇った男たちを簡単に殺すようなヤツだぜ?


下手なこと喋ったら、今度は俺らの命も危ない」


戒は自分の首を斬る仕草で片眉を吊り上げた。


余計なことを喋ったら次殺されるのは




あたしたち。





ごくり、と生唾を飲み込み、


「戒さんの言う通りです。


今は黙って打ち合わせ通りに」


キョウスケの真剣な言葉に、あたしは頷くしかなかった。


「なぁ白へびがあそこに居た目的はなんやろな。


朔羅が見たって言う社の下に、何かを掘り起こした形跡があった。あれを探しにきたんじゃねぇか?」



「それだよ!」


「でも何が埋まってたのかは不明ですよね」


「それもそうだけど」


「武器とかの類ではないぜ?長さ十センチにも満たない小さなものだ」


「それぐらいのもんなんていくらでもあるよ」



そんなやり取りをしているときだった。



ガチャッ


扉が開いて、またも刑事が顔を出した。