賽銭泥棒をやった、やらないの押し問答はその後十分ほど続いた。


繰り返されるうんざりするような質問に、いい加減辟易してきた。


そのときだった。


コンコン


扉を軽くノックする音が聞こえて、若い私服警官が入ってきた。


制服警官たちは軽く敬礼をして


「ここは私が聴取するよ、君たちは事務手続きの続きを」


と言って、部屋の外を促す。


制服警官は一瞬だけ不思議そうに首を傾けたものの、すぐに頷いて二人とも出て行ってしまった。


あとに残された私服警官とあたしたち三人。


繰り返し同じ質問にうんざりしていたのか、戒もキョウスケもふてくされたように腕を組み、そっぽを向いている。


「今度はデカ(刑事)の登場かよ。


仰々しいな。ミニスカの婦警はいねぇのかよ」


戒はデカ相手だってのに、取り繕うことなく不機嫌に鼻を鳴らした。


「生憎だがうちの制服のスカート規定は膝丈でね、君の要望には答えられない」


と、生真面目な返事が返ってきて、戒は手をテーブルにつきわずかに身を乗り出して、





「ジョークに決まってンだろ?」





刑事を挑発するように薄く笑う。


刑事は戒の挑発ももろともせずに、表情筋一つ動かさず淡々と聞いてくる。


「まず、君たちがあの神社に居たわけをもう一度詳しく聞かせてくれないか」


またも質問されて、あたしたちは顔を合わせた。


「答えその①、不良に絡まれた。


答えその②、女を取り合って三角関係のもつれで喧嘩した」


戒がまたも挑発するように笑って二本指を立てながら、キョウスケとあたしの方を目配せ。





刑事は手を伸ばして、何を思ったのか戒の手を握りながら三本目の指を立たせると





「答えその③、殺人現場に居合わせた。




その選択肢はないのか?」





――――…!!



刑事の目がここにきて鋭く光り、戒は乱暴に手を払うとその手を引っ込めた。